赤塚高仁ブログ

山本一力さんの人生相談

2020.02.26

 人生相談する人も、
応える人にも関心ありませんが、
産経新聞の
「あすへのヒント」人生相談

 作家・山本一力さんの回答はいつも感心しながら読みます。

「20代の大学生。
 母と、母が信仰する新興宗教との付き合い方で悩んでいます。
 
 生まれてすぐ入信させられて、
 受験や就職、結婚など何でも宗教を通さないと決定できない現状に嫌気がさしています。

 宗教は公序良俗に反するものではなく、
 育ててくれた恩もあります。
 「理解してくれるのはあなただけ。」
 と、母に言われてはっきり嫌だと言えず、
 親孝行だと思って付き合ってきました。

 しかし、
 大学受験や一人暮らしの物件、
 果ては所属ゼミまで決められて、
 このままだと結婚相手も決められてしまいそう。
 就職を機に縁を切ろうか悩んでいます。

  母と宗教から上手に距離をとるにはどうすればいいでしょうか」

 一旦自分なりに回答を考えたうえで、
 山本一力さんの答えを読むようにしています。

 毎度うならせられます。

「あなたと同じころには、
 高卒の私はすでに社会人だった。
  入社3年目の初夏、営業先に向かう道々、
 先輩に釘を刺された。

『客先では政治・宗教・スポーツの話は絶対にしてはいけない』
と。

 三つはすべて、個人の考え方が濃い影を落としている。
話始めでは同好の士に思えても、深い部分では異なる。

 考え方の違いが明瞭になったら、相手との間に深い亀裂を生じかねない。
ゆえに三つは話題にするなと、きつく戒められた。

 あなたが抱えもつ深刻な悩みに、
 一般論の助言など役には立たぬ。

が、3倍長い時間を生きているわたしだ。
信心と、いかに向き合って生きているか、
その体験論なら話せる。

 42歳の6月、
私は富岡八幡宮のすぐ近くに転居した。
当時は小説新人賞に応募を重ねており、
お参りのたびに新人賞合格を、ひたすら祈っていた。

 ある朝、町の長老からたしなめられた。

「神様にはお願いではなく、
 今日も生きていられることを感謝することだ」と。

長老から諭されて、私は人生という道を歩むための杖を授かった。

 相談文章から察するに、
あなたもさまざまな局面で、
信仰する神に願い事をしてこられたのではなかろうか。
 ひとはひとりで生きるのはむずかしい。
さりとて、生き方をあれこれと、強制され続けて歩むのは、
さらにきつかろう。
が、
果たしてあなたは母と宗教とに、支配されるのみという状況なのか。
 迷いが生じたとき、
あなたを支える杖とはならなかったのか。
それを是非一度、思い返していただきたい。

 求めることには、不満がつきまとう。

 感謝なら限りなく捧げられると思うが。」

 まさに然り、アーメン!

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