中山靖雄先生を偲ぶ会
私が伊勢で研修をさせていただいたり、神宮をご案内させていたけるのもすべて中山先生のお蔭です。
映画「4分の1の奇跡」も、中山先生と入江ふみ子監督との出逢いがなければ違ったものになっていたことでしょう。
多くの方を中山先生のところにご案内して参りました。
その都度、本当に魂の底から喜んでくださる先生でした。
中山先生の和歌集「ひもろぎ」にこんなエピソードが紹介されています。
「 先日、神宮に早朝参拝した折、正面の階段の途中に、鼻をかんだちり紙が落ちておりました。
私は何気なくそれを拾い、杉の根元のところへ置いたのです。
それを見ておられたのでございましょう。守衛さんが、
「貴方、紙を捨てましたね」と言われるのです。
一緒に参拝していた方が、
「先生は拾って捨てられたのですよ」と言って下ると、
「あのようなところに捨てるなら、元のとおりにしておいたほうが、お掃除の人に見えます」
とおっしゃるのです。
階段の中央にあれば後から参拝される方の気分を害するのではと思ってしたことで、
「あなたの言い方は失礼だ」と申しましたら、
「そんなに後の方のことを思われるなら、持って帰ったら」と言われてしまいました。
何となく面白くない気持ちのまま内宮に座って参拝をしておりましたら、思わず涙がこみ上げてきて、止まらないのです。
その時、ふと「自分はよいことをやっている」という自惚れがあったな、当たり前のことをしただけだと思っていたなら注意をされたとき、
「ごめんなさい、まぎらわしいことをして」で済んだでしょう。
よい事をしたのにという思いが、こんなに失礼なことを言われる所以はないと腹を立てさせたのでありましょう。
本当に申し訳なかったという思いで、帰り際、守衛さんに
「私の傲慢な思いを叩いてくださって、本当にありがとうございました」
とお詫びしました。
すると守衛さんは下座に立たれ「私も言い方が悪くて」と言ってくださいました。
どなたかの作で次のような詩がありました。
貝殻を耳にあてると
海の音が聞こえる
貝は長く海にいたから
海の音がしみ込んだのかな
海は貝に命をやったんやな
海のように広く深く大きな愛に包まれて、25歳から講師の道を歩ませて頂いたと思いますとき、
大いなるものに許していただいての今、お育ていただいてのここ、という思いでいっぱいでございます。
佳き人の 思いに抱かれて よろこびの
気立ち昇る 天まで届け 」
修養団伊勢道場にて中山靖雄先生を偲ぶ会を開催することが決まりました。
6月28日 日曜日 13:00~16:00 詳細は決まり次第ご案内申し上げます。
伊勢の父、中山先生の思いを受け継ぐひとときになるでしょう。