赤塚高仁ブログ

白隠禅師の「ほう、そうか?」

2012.06.18

 白隠禅師の逸話を聞いたことを思い出しました。

どうして、この話を思い出したのでしょうね?

なんだか、人の噂話がちょっとだけ気になる日もあるのです。

心も波が立つものです、人は存在自体が波動そのものですから。

 

 白隠禅師は、人々の尊敬を集めていて、大勢の人が彼の話を聞きに集まってきていました。

あるとき、寺の隣の十代の娘が妊娠しました。

怒り狂った両親に、子供の父は誰だと問い詰められた娘は、とうとう相手は白隠禅師だと答えたのでした。

両親は、激怒して白隠のもとに怒鳴りこみ、娘が白状した、お前が父親だそうだな、となじったのです。

白隠は、「ほう、そうか?」と答えただけでした。

 噂は町じゅうどころか、近隣に広がってゆきました。

禅師の評判は、地に堕ちました。

だけど、白隠禅師は意に介すことはありませんでした。

誰も説法を聞きに来なくなりましたが、禅師は落ち着き払っていました。

赤ん坊が生まれると、娘の両親は赤ん坊を禅師のもとに連れてきて、

「お前が父親だから、お前が面倒をみるがいい」と。

禅師は、赤ん坊を慈しみ、世話をしました。

一年経って、慙愧に堪えられなくなった娘は、両親に言いました。

実は、赤ん坊の父親は、近所で働く若者だと。

両親は、あわてて白隠禅師のもとへ駆けつけ、申しわけありませんでしたと詫びました。

「本当にすまないことをしました。赤ん坊は、引き取らせてもらいます。

 娘が、父親はあなたではないと白状しましたので。」

「ほう、そうか?」

禅師は、そう言って赤ん坊を返しました。

 

  良くも悪くも、いまという瞬間をそのまま認めて、人間ドラマに参加しないこと。

起きる出来事を、個人的なものにしない。 誰の被害者にもならない。

起こった出来事に抵抗しようとすると、その出来事に翻弄されてしまうし、幸福か不幸かをよそから決められることになります。

 

 エゴは、一瞬にして反応し、ワシを乗っ取ります。

ちょっと離れて、あるがままをみる。

 今日一日、気をつけていたいものです。

 

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