赤塚高仁 物語

11.やんちゃな独創

「前例がないからやってみよう」
やんちゃな独創の博士だった。
糸川博士は飛行機の設計士で、陸軍の名機「九七戦闘機」「隼」「鍾馗」を生み出した。

しかし、ポツダム会談の後、日本は航空機を作ってはいけなくなった。
苦闘の末、博士はロケットにたどりつき「ペンシルロケット」を生み出したのだった。
最晩年の10年間、赤塚高仁は、糸川博士の近くで学んだ。
遺骨も拾った。
それまで全く考えたこともなかった、国を愛する心も博士に学んだ。
イスラエルという国にも何度も連れていってもらった。
ユダヤには、こんな言葉がある。
「歴史を失った民族は必ず滅びる」
また、こんな言葉も教えてもらった。
「手のひらは、もらうためよりあげるため」

1度滅びた民族が、再び建国した奇跡を目の当たりにした。
魚に水が見えないように、日本人に日本が見えないことに気づかされたのだった。
ある時博士が高仁に聞いた。
「あなたの命は何のためにあるの?」
返事に困っている高仁に博士は、
「物事をむつかしく考える人は、成功者にはなれませんよ。
命は、自分のために使ってはいけません。
命は、他の人のために使うものです。
自分の頭の上のハエを追わず、人の頭の上のハエを追いなさい。
そうすれば、いつしか、誰かが自分の頭の上のハエを追ってくれているでしょう。」

 

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