赤塚高仁ブログ

誓いの井戸ベエルシェバ

2018.11.14

 ベエルシェバのホテルを出ようとすると、
ベングリオン大学広報担当のハダスさんから電話
「ガザのミサイル攻撃で警報が出ていて、休校になりまして、
 予定を変更させていただきます」
訪問する時間が一時間遅れたため、ベエルシェバを見て回ることにしました。
この町は、旧約聖書の舞台で、
ユダヤ人の父祖であるアブラハムが活躍した場所です。

初めてこの地を訪ねたとき、
ガイドさんが「7つの井戸があったのです」と言ったことを覚えています。
砂漠で最も貴重なものは水です。
雨も降らず川もない荒野で水を手に入れるには、
オアシスを探すか井戸を掘らなければなりません。
その地で7つの井戸を持っていたからアブラハムは族長として、
仲間や羊たちを養えたのだと知りました。
ヘブライ語でベエルは井戸、シェバは7という意味があります。
ところが、
シェバは、「誓い」あるいは「契約」という意味もあります。

創世記21章
「アブラハムはアビメレクの家来たちが、水の井戸を奪い取ったことについてアビメレクを責めた。
しかしアビメレクは言った、
『だれがこのことをしたかわたしは知りません。あなたもわたしに告げたことはなく、わたしも今日まで聞きませんでした』
そこでアブラハムは羊と牛とをとってアブラハムに与え、二人は契約を結んだ。
アブラハムが雌の小羊7頭を分けて置いたところ、
アビメレクはアブラハムに言った。
「あなたがこれらの雌の小羊7頭を分けて置いたのは、なんのためですか」
アブラハムは言った、
「あなたはわたしの手からこれらの雌の小羊7頭を受け取って、わたしがこの井戸を掘ったことの証拠としてください」
これによってその所をベエルシェバと名付けた。
彼らがふたりそこで誓いをしたからである。
このように彼らはベエルシェバで契約を結び、アビメレクとその軍勢の長ピコルは立ってペリシテの地に帰った。
アブラハムはベエルシェバに一本のぎょりゅうの木を植え、その所で永遠の神、主の名を呼んだ。
こうしてアブラハムは長い間、ペリシテびとの地に留まった」(引用ここまで)

テルベエルシェバの遺跡に行くとアブラハムの誓いの井戸があります。
70メートルの深さがあり、今もなお水を湛えています。
ツアーで必ず訪ね、バラさんが井戸に石を落とすとしばらく経ってから、
「どぼーーん」と音がするのです。
「ずいぶん深いよね、どれくらいの深さがあると思う?
 当たったらミネラルウォーター1本プレゼント!」
そんなやりとりを楽しみながら、旧約聖書の世界と近づき、
足の裏で聖書を読んでゆくのが私のイスラエルツアーです。

 時間ができたので、テルベエルシェバを訪ねて歩いてみました。
井戸にも石を落として、音がするのも確かめました。
4000年前の世界を感じていると再びベングリオン大学のハダスさんから電話です。
訪問する時間を30分遅らせてくれとのこと。
緊急事態で予定していた教授が来られないのだそうです。
あらあら、
と、思っていたらドライバーのイェフダーさんが
「もうひとつアブラハムの井戸があるが見に行くか」と言います。
時間ができたから見に行こうということになりました。
(ちなみにイェフダーというのは英語ではユダです、クリスチャンは決してつけない名前ですね)

予定していなかったアブラハムセンターを訪ねました。
5年前にアメリカ人の富豪の寄付によって建てられたセンターの中では、
アブラハムの物語が3Dの映像によって繰り広げられるのですが、
それがまあよくできていて、創世記のアブラハムの物語がよくわかる。
ふ〜ん、と頷いていたらスルスルとスクリーンが上がり、
目の前に中庭が現れ、その中央に井戸が、その横にぎょりゅうの樹が・・・
4000年前の井戸だとセンターのお姉さんは自慢気に言います。

その井戸が本物のアブラハムの井戸かどうかはさておき、
創世記の場面が私に迫りました。
神がアブラハムと契約を交わし、ユダヤ人が契約の民となります。
だから、契約の宗教です。
アブラハムが井戸でアビメレクという人との契約を初めて交わした場所、
それがベエルシェバなのです。
人と人との「契約」という概念がここで生まれたのです。
アブラハムセンターを訪ねてそのことの意味がよくわかりました。
これからのツアーで、必ずみなさんをお連れしようと思いました。
旧約聖書の理解が一気に深まります。

 そのときに7頭の羊たちを契約金にしたところから、
7という数字は特別なものとなったようです。
ラッキー7といいますね。

 ベングリオン大学でもとても大切な体験をさせてもらいました。
それは、また改めて書きます。
ベエルシェバを後にして、3時間あまり車を走らせてガリラヤ湖畔のホテルに着いたのは、
夜8時を過ぎていました。
一夜明けて、朝が来て、旧約の世界から2000年の時間を飛び越えた新約の世界、
イエスキリストの息吹溢れるガリラヤ地方です。

イスラエル建国前からあるキブツを訪問します。

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