6.就職
自由で明るい音楽業界で生きてゆきたい、渡辺プロに入ってマネジメントの仕事がしたくて、ナベプロに就職内定した。
 しかし、人生はあらかじめ決めてきたシナリオがあるかのごとく、建設業界に高仁は進むことになる。
 何社かのゼネコンの入社試験を受けた。
 実家が住宅屋なので、住宅業界に進むべきだったが、ゼネコンとハウスメーカーの違いもよくわからなかったようだ。
 「建設」という名前ならどこでもよかったのか。
 本当に社会生活適合不能人間である。
 大学進学にしても、就職にしても全く信念のない、実にいいかげんな人間だが、
 こんな人間でも世の中の役に立つことができるときがくるのだ。
 後に、「神様が宿る家」との出会いによって、過去の1切の出来事を益と思えるようになる。
 しかし、このときは高仁、まだ道に迷っているばかりだった。
 結局、飛島建設に入社するのであるが、土木業界で六位の会社であるという世間体が決め手だった。
 ちなみに面接で「ご縁があったら連絡します」と言われた清水建設からは、まだ連絡はない。
				
					
				
					
				
