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家作りという一生一代の選択のため、ハウジングセンターの住宅展示場は休日ともなると大賑わいです。
ちびっこが退屈しないよう、綿菓子の屋台が出たり、戦隊ショーまで開催されています。
モデルハウスでは、夢のような飾り付けがなされた室内で、ニコニコ笑って営業マンさんがすり寄ってきます。
綺麗な写真がたくさん載った立派で豪華なパンフレットを何冊ももらいませんか?

「営業マンがとても親切だったからこの会社に決めました」
 
家作りの多くの方々の選択は、こんな風になされているようです。
でも、ちょっと待ってください。
その営業マンは、契約をするのが仕事で、家を作ることに関してはアマチュアである場合が多いのです。
住宅展示場のモデルハウスは、だれも住むことはなく数年で解体されてゆきます。
ハウジングセンターでのイベントにはお金がかかるのに、入場料は無料です。
一冊何千円もするようなパンフレットを何冊もらってもタダです。
プランも無料で描いてくれます。
それにモデルハウスで働いている人たちの給料はどうなっているのでしょう。
 
実に単純明快です。
すべてのコストは、契約した家の代金に含まれています。
TVのCMの費用、登場する芸能人のギャラも契約金額に含まれているということなのです。
 
こんな風に、「住宅が産業」になっている国は日本だけです。
世界のどの国でも、「住宅は文化」なのです。
本来の建築そのものにではなく、余計なものにコストを奪われるから家が高くなります。
原価を下げるために徹底的な合理化が図られ、効率が最優先されて工業化製品がふんだんに使われる家が日本の標準となるわけです。
先進国のどこに行っても、壊すためのモデルハウスを作る愚かな国はありません。
アメリカの展示場を数え切れないほど見学しましたが、すべて販売し、人が住むために作られた家です。
ハウスメーカーなる業態が存在するのも世界で日本だけであるということを知った方がいいのかも知れません。

今から30年ほど前のことです。
シアトルで住宅の仕事をしている友人を訪ね、何度も渡米しました。
その度に、あまりに美しい米国の街並みに魅了され、そこに住みたいと思わされたほどです。
広い敷地に大きな家。
それぞれの家が美しく、個性的に住む人の人生を主張している。
2台分のビルトインガレージが標準装備、
無垢の床材、ドライウォールの壁
全館セントラル冷暖房
庭は、映画で見た憧れの世界。
ベルビュー、ミルクリーク・・・シアトルの街並みは衝撃と共に夢を与えてくれました。
 
「こんな街並みを日本に作りたい」
 
そんな夢のような街に住んでいる人たちは、私たちとかけ離れた大金持ちなのでしょうか?いいえ、普通の日本人の所得と変わらない人たちが、3倍の広さの土地に、2倍の大きさの家を持ち、美しい庭と、散歩すると幸せな気持ちになれる街並みに住んでんいると知った時は愕然としました。
いえ、悔しかったと言った方がいいでしょうか。
当時、世界で2番目の金持ち国といわれた日本が、一番の国と比べこれほどまで住環境が劣っているとは。


アメリカは300年も歴史のない新しい国です。
しかし、世界の覇者であることは間違いありません。
つまり、現代の世界の頂点にある国にはありとあらゆるものが集中し、
最先端の情報があることは事実なのです。
だから、住宅も世界中の良いものが集まり、最もいいものが提供されていると考えて良いと思います。

なんちゃって輸入住宅は、日本で多く建てられていましたが、それは本場から見ればオモチャのようなものでしょう。
外国で、寿司のようなものを食べているのをみて、日本人が笑うように、
オモチャの家を見てアメリカ人は笑っていました。
「まるで映画のセットのようだ」と
また、アメリカ人の友人からこんな風にも言われました。
「お前の国の住宅は実力はハイスクールなのに、値段はメジャーリーグだな」と。
 
アメリカの住宅事情を知れば知るほど、日本の住宅事情が20年も遅れていることに気づかされました。
もっとも、これはすべてのことに当てはまることです。
自動車に乗って、スーパーマーケットで買い物して冷蔵庫で保管しておく。
そのスーパーマーケットも、どんどん郊外型になり、そこにいけばなんでも手に入るようになってゆく。
ガソリンスタンドでもそうです。
セルフになって自分でカード決済して給油するなんて、思いもよらないことが、今では当たり前です。
図書館と喫茶が一体になるモデルも、ありとあらゆる生活パターンが欧米化されています。
ハンバーガーをかじりながら、自動車で、ロックンロールを聞いている人は、着物も着ていないし、草履も履いていません。洋服を着ています。
 
【衣】【食】【住】
 
住だけが例外であるはずがありません。
 
【守】【破】【離】
 
まずは、徹底的に米国の住宅を学ぼうと思いました。
黒船を学び作り上げた薩摩藩主、島津斉昭公のように。
 
学ぶこととは「真似ぶ」こと、
そして、それを突破してオリジナルへと進むのです。
 
日本の衣が、世界で憧れられる着物であるように、
日本の食が、世界が絶賛する和食であるように、
日本の住が、世界に求められるときがくると私は信じます。
たとえ今の産業となっている住宅が、世界から「仮設住宅」と呼ばれていようと、
きっと近い将来、日本の住宅が世界中の人たちの健康と幸せに貢献するようになるというヴィジョンを描いています。
そして、それを求めるのが私たちのミッションだと思っているます。


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