赤塚高仁ブログ

ぼんぼり

2015.06.21
先週は、入江ふみこさん主催の「伊勢の風を感じる会」、舩井さんのにんげんクラブ主催「悠久の伊勢に学ぶ会」
2度も水行させていただきました。
2度とも私がぼんぼりを持たせていただき、先に五十鈴川に入ってみなさんが来られるのを待っているわけです。
皆さんが準備運動をしている間も、川の中で待っているわけですから・・・
 6月のこの季節は、蛍が飛んで風の匂いもやさしく、すがすがしい気持ちになりますが、
12月の「神話を体感する会」のときは、とても風景を愛でる余裕などありませんね。
身を切るような冷たさとはこのことか、というほど痛い。
骨まで凍えるような冷たさの中、じっと待つのは少し切なく、
みなさんが出ていってからも、整理体操の間 水に浸かっているわけです。

 29歳のときこと、真冬の2月は9日

当時入っていた青年会議所(JC)の三重ブロックアカデミーの研修で送りこまれたのが修養団でした。
四国からもどったばかりで、知人も少なかったので父のすすめで入会したJCでした。
なんとなく居心地の悪さを感じながらも、仕方なくやってきた伊勢修養団。
いきなりお手手つないでの童心行、挙句の果てに真冬の夜の禊ぎ。
逃げ出そう! そう考えているうちに五十鈴川の河原に連れてゆかれました。
集団心理というのは恐ろしいものです。
ほふられてゆく羊の群れでしょうか。
頭の中は、「にげたい」「どうして・・」「来るんじゃなかった・・」「死んでしまう・・」
後悔と不安と寒さでパニックです。
ふんどしになって、川に向かったその時、
真っ暗な川面に小さなぼんぼりの灯りが見えたのです。
ずっと静かにぼんぼりを持って、川の中に立って、私が入るのを待っていてくれる人がいる。
すーーーーっと心が静かになりました。
嵐のような思考が止まりました。
 流汗鍛錬・・流汗鍛錬・・・流汗鍛錬・・唱えながら川に入ったのでした。
寒いなんてものじゃなかったです、痛い!
歯の根が合わず、和歌の朗誦もガチガチなって・・・
それでもちゃんと出来たのは、ぼんぼりの灯りのお陰だったと思えます。
小さなぼんぼりの灯り。
それが、希望であり、私の勇気となりました。
人は、そんな灯り一つで前に進んでゆける・・・それを知りました。
そのぼんぼりを持っていてくださっていたのは、中山靖雄先生でした。
ところで、一泊二日の研修でしたが、川から上った私はそのまま車飛ばして家に帰り、
入会からわずか一年半でJCを退会したのでした。
もう二度と修養団など来ることもないだろうし、水に入ることも死ぬまでないと思っていました。
あれから27年・・・
 ぼんぼりを持って、水に入りながらそんなこと思っていました。
すると中山靖雄先生が、蛍になってすーーーっと目の前にやってきてくれました。
「すべては いまのためにあったこと・・・」
誰でも、誰かのぼんぼりになれる。
その灯りが勇気に変わる、希望となる。
 天に帰ってゆかれた中山靖雄が喜んでくださるように歩いてゆこう。
中山先生のことを思うと、鼻の奥がツンと痛くなって涙がこぼれそうになります。
私も先生のようになりたい。
自分を勘定に入れずに、誰かのためにぼんぼりを持ち続けたい。
そう願わされています、いきさつを超えて。
6月28日は修養団の道場で、中山靖雄先生のお別れの会をさせていただきます。
縁あって、代表発起人にしていただきました。
中山先生に捧げるため、「ヤマト人への手紙」その日に出版されます。
中山先生、いいふうにしていただいてありがとうございます。
先生が待っていてくださる世界にゆくまで、もう少しこの世の旅路を、喜んで歩みます。
その日が来たら、どうかぼんぼりを持ってそちらへの道を照らしてくださいね。
とても先生に会いたいです。
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