赤塚高仁ブログ

姫路の友達

2015.08.27

 新幹線で行くものだと思っていた姫路に、大阪から在来線で行きました。

海が見えるし、明石大橋が間近に見えます。
三宮の街並みを見ながら、いろんなこと思いました。
 仲良しの友達が本を出したいと言いました。
原稿を書いたと言いました。
深い人生を送ってきた人です。
その一冊の本が、どれほど多くの人を励ますことになるでしょうか。
 だけど、原稿そのままでは本として働かないのです。
編集、装丁
様々な過程を経て、一冊の本が生まれます。
とりわけ、編集は本に命を吹き込むものだと言えましょうか。
私は、友人に、きれいねっとの山内さんを紹介しました。
この人の思いをまとめるのは、彼女をおいて他にないと思いましたから。

まだ会ったことのない二人です。
山内さんに挨拶したいという友に同行して、姫路まで行ったわけです。
もちろん原稿はすでに送ってあり、
読んでもらっています。

 小さな会社でした、きれいねっと。
実は、私も初めて訪問したのです。
印刷機を運転しているのが、山内さんのお父さん。
私を見つけるなり駆け寄って、
「あーー、赤塚先生
ヤマト人への手紙、いいですねぇーー
私、読者第一号です!」
印刷から製本まで、一冊からでもローコストで作り上げてしまうシステムを構築したお父さんは、本を印刷するのが夢だったと言います。
多大な設備投資をして、大きな印刷機をフル回転していた頃は、
広告の印刷をしないと経営が成り立たない。
だから、本心ではやりたくない仕事をやり続けていたそうです。
バブルが弾け、仕事がなくなり、もうダメだと思ったとき、
すべての設備を捨てて、小さくなって本を作り始めるのです。
表紙を作ったときに出る紙の切れ端で、可愛い栞を作ってくださいます。
ゴミを出すのがイヤだから。

きれいねっとは、一度出した本は絶版にしません。
在庫を裁断して、捨てることはありません。

山内さんが、友に言いました。
「いい話の本にはしたくありません。
人間として、熱の伝わる本にしましょう。
だから、一度、原稿も壊しますね。
もう一度書いてもらうことになる部分も出てきます」

 帰る道で、二人しみじみ話しました。

良き友は、人生の宝やね、って。

  秋に生まれる一冊の本、
多くの日本人の魂を慰めることになるでしょう。
ご期待くださいね。








PAGE TOP